森林認証の現状について知りたい人には、 Richard Eba’a AtyiとMarkku Simulaによる「森林認証:熱帯木材のための挑戦(Forest Certification: Pending Challenges for Tropical Timber)」がお勧めです。最新の事象や数値を示すと共に、さまざまな森林認証制度の比較、それぞれの制度が熱帯林に与える影響について述べていま す。Polex筆者はこの論文から、つぎのようなことを学びました。
2002年1月現在、認証森林面積は全世界で1億9百万ヘクタール、2001年の2倍、1999年の4倍の面積が認証されています。
森林面積に対する認証森林面積の割合は、全世界では2.8%、北米で8.7%、ヨーロッパで5.7%、その他の地域では0.5%にとどまっています。
アジア太平洋地域、アフリカ、ラテンアメリカの認証森林面積は、世界の認証森林面積の8%にすぎません。
国際的な森林認証制度の代表的なものとして、The Pan-European Forest Certification (PEFC)、the Forest Stewardship Council (FSC:森林管理協議会)があり、PEFCはヨーロッパを対象に森林認証を行なっています。熱帯地域では、FSC、マレーシア国認証制度、 Keurhoutにしたがって、森林認証がなされています。
FSC認証を受けた森林で経営面積が5万ヘクタールを超えるものは86件あり、全認証森林面積の9割以上を占めています。(5万ヘクタール以下の認証森林は284件。)
FSC認証を受けるための審査・認証業務は、FSCにより認定された認証機関によりなされます。認証件数の約9割が、SGS、Rainforest Alliance/Smart Wood、SCSの3機関によってなされたものです。
イギリス、デンマーク、ベルギー、オーストラリア、アメリカ合衆国のいくつかの州では、環境政策の一環として、認証森林からの産物の使用を推進しています。
すでに認証を受けている熱帯林は、もともと丁寧に管理されていたものが大半です。しかし、認証森林の経営では、長期的な森林管理計画の策定、調査 区の設定、Reduced impact loggingの適用、保護林区の設定、森林経営に関する報告等を必要とするため、森林認証制度が広がることにより、より多くの森林で持続的森林経理が実 施されるようになると期待されます。
ここで紹介したのは、Eba’a AtyiとSimulaによる論文のほんの一部にすぎません。全文を取り寄せてお読みになられることを願っています。
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訳者付記:今回紹介された論文は、国際熱帯木材機関(ITTO)が2002年4月にマレーシアで開催した国際ワークショップ「森林認証制度の互換性と等価性 (Compatibility and Equivalence of Forest Certification Schemes)」で発表されたものです。
森林認証制度については、小林紀之著「21世紀の環境企業と森林」、日本林業調査会、に詳しい解説があります。
今回 紹介した論文の電子ファイルを希望される方は、コメントや質問がある方は、Markku Simulaにご連絡ください。