パートナーシップは時代遅れ?

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自然保護について地域と世界の関心は一体どれだけ両立できるのか、という昔からの議論が最近Oryx誌上で再燃しました。

まず、Sonja VermeulenとDouglas Sheilは自然保護関係の機関に対し、実効性と倫理性の両面で地域社会との「パートナーシップ(partnership)への本当の参画」を呼びかけました。「参加(participation)」という謳い文句にもかかわらず、ほとんどの自然保護事業はいまだにトップダウンで外部から操られており、地域住民を解決策の要素というより問題の一部とみなしていると、著者らは嘆いています。

地域社会は自らが自然を大切にしており、外部機関との協力関係を築くのに適した共通の場は既にあると、著者らは主張します。保護に関する地域の意向を優先させた協同事業の方が、対立を減らし、より持続的に関与できます。パートナーシップによる方法は倫理的にも優れています。保護についての決断は民主的に下され、利益は公平に分配されるからです。

それに対し、Clapperton Mayhungaはアフリカの観点から、パートナーシップに対するこのような信念は見当外れでむしろ危険であると反論します。彼はVermeulenと Sheil自身が彼らの提議した問題の一部であるとした上で、「パートナーシップ」という考えは植民地主義の遺物である不平等な力関係を反映しているのだと主張します。非西洋的社会の中で生計を立てようとする村人らの自然の取り扱いは保護主義者らのとは異なります。Mayhungaは自然保護のためのパートナーシップは時代遅れだと結論付け、地域の文化や歴史、希望に沿って保護事業を展開できるような場を設ける「新しい知識民主主義」を呼びかけました。

また、John Robinsonも、VermeulenとSheilは地域社会と保護主義者の共通の関心を強調しすぎだと、批判しています。自然保護、貧困軽減、そして社会正義を調和させるという最近の議論は、「魅力的だが近視眼的だ」と彼は述べます。さまざまな参加者の異なる関心や役割をはっきりと認識した上になければパートナーシップは成功しないと、多くの事例を参照しながら彼は主張します。

これら二つの批判は、自然保護のパートナーシップは意味があるという自分たちの見解を実際には支持していると、VermeulenとSheilは捉えています。地域社会と外部の関係者の関心は違うかもしれないことには同意しつつも、その違いを保護主義者は過大に取りすぎるきらいがあると彼らは感じています。VermeulenとSheilの主張は態度を改めようというものです。なぜなら、否定的な考え方では失敗を予測し、実現させてしまうからです。「共通の展望(shared visions)」と相互の尊敬に裏付けられたパートナーシップなら、そうでないパートナーシップよりも、違いをうまく乗り越えられることでしょう。

あなたはどう思いますか?

(日本語訳 鷹尾 元(CIFOR) g.takao@cgiar.org)

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Further reading

今回御紹介した文献は:

Vermeulen, S. & Sheil, D. 2007. Partnerships for tropical conservation. Oryx. 41, 434-440.

Mavhunga, C. 2007. Even the rider and a horse are a partnership: a response to Vermeulen & Sheil. Oryx, 41, 441-442.

Robinson, J. 2007. Recognizng differences and establishing clear-eyed partnerships: a response to Vermeulen & Sheil. Oryx, 41, 443-444.

Vermeulen, S. & Sheil, D. 2007. The possibility of common ground: a reply to Mavhunga and Robinson. Oryx. 41, 445-446.